介護予防策は益々重要に

 東京、神奈川、千葉、埼玉、山梨の1都4県で要介護認定者は2020年度までの3年で1割増え、約170万人に上る見通しです。国内でも人口が密集する首都圏では今後高齢化が急速に進む見込みです。各自治体は住民の健康増進、医療費の抑制などにつなげるため、介護予防対策を進める手筈です。

 17年度末の65歳以上の要介護認定者数と、介護サービスの次の計画期の最終年度にあたる20年度末の見込み数を1都4県に聞きました。合計すると、152万2000人から11.7%(17万7500人)増の169万9600人になる見込みです。
要介護認定者が65歳以上の人口に占める割合も上昇し、20年度末には東京都が17年度比1.6ポイント増の20.3%と2割を超えます。次に神奈川県の18.2%(1.4ポイント増)が高く、千葉県の16.9%(1.6ポイント増)、山梨県の16.0%(0.3ポイント増)、埼玉県の15.7%(1.1ポイント増)が続きます。

 神奈川県の要介護認定者は20年度末に42万3700人と、17年度末から11.5%(4万3000人)増える見通しです。都市部で高齢化が加速する横浜、川崎市など県東部だけでなく、65歳以上の高齢化率が既に25%以上の市町村が多い県央、県西部でも介護予防対策が重要になります
同県は市町村と組み、介護が必要になる手前の段階「フレイル(虚弱)」を住民がチェックする事業に力を入れます。研修を施した住民のサポーターが、同じ地域に住む高齢者らに栄養、口腔(こうくう)ケア、運動、社会参加などをテーマに項目を確認します。例えば高齢者が受けるメタボ健診では肥満対策が中心で、栄養摂取や筋肉量の改善などにはつなげにくいはずです。自分で気付かない体の異変を知り、早期改善を目指す仕組みです。

 これまでに小田原、茅ケ崎市など8市で事業を実施。18年度には横須賀、中井町も加え、対象地域を広げています。フレイルチェックは東京大学高齢社会総合研究機構(文京区)が開発、千葉県柏市など他の首都圏の自治体にも取り組みが広がています。
東京都は20年度末に要介護者が63万9900人に上り、10.7%(6万2000人)増えると予測しています。先進的な介護予防事業などノウハウを区市町村に指南する拠点を東京都介護予防推進支援センター(板橋区)に開設し、専門家を派遣したり、施策の相談に乗ったりしています。

 要介護者の増加率が14.6%と1都4県で最も高い千葉県は、高齢者の就労や地域活動への支援を充実し、生涯現役社会を実現する目標を18~20年度の高齢者保健福祉計画に盛った。60歳を超えても企業で働いたり、ボランティア活動に従事したりする高齢者の割合を男性、女性ともに80%に高めることを目指します。
埼玉県は16年度から新座、蕨など4市町で介護予防や生活支援の体制整備に取り組む地域包括ケアのモデル事業を開始しています。18年度はそのノウハウを踏まえ全市町村に専門家を派遣し、地域の実情に応じた介護予防を後押しする方針です。

要介護者の増加割合
2017年度末2020年度末要介護認定率(2020年度末)
東京都57万7800人63万9900人20.3%
神奈川県38万人42万3700人18.2%
埼玉県27万2300人30万5000人15.7%
千葉県25万3800人29万900人16.9%
山梨県3万7900人3万9900人16.0%

日経新聞 7月19日 タイトル:『「要介護」3年で1割増に 1都4県、予防急ぐ』より抜粋

厚労省、介護予防の「通いの場」テコ入れ

 厚生労働省は26日、介護保険の介護予防と医療保険の保健事業を一体的に実施するための新たな仕組みを創設する方針を決めました。健康寿命の延伸につながる効果の高い事業を展開し、今後の給付費の伸びを抑えていくことが狙いです。社会保障審議会の部会で提案し、委員から大筋で了承を得ました。

 厚労省が想定しているのは、全国に7万6492ヵ所ある介護保険の「通いの場」をうまく活用すること。参加者同士のコミュニケーションや関係づくり、体操・運動といった既存の取り組みにとどまらず、専門家による疾病予防や口腔管理、フレイル対策などのサービスも併せて行っていくことです。言わば「高齢者サロンの高機能化」で、保健師や栄養士、リハ職などに活躍してもらう構想を描いているのです。

 同様の取り組みは以前から一部の自治体で実践されてきました。「その制度的な位置づけを改めて明確にすることで、広く全国へ普及させていきたい」。厚労省の担当者はそう話します。介護保険と医療保険の垣根を取り払い、地域ごとの体制をより効率的に作ってもらいたいという思惑もあります。大もとの制度が異なるため、相互に関連が深い介護予防と保健事業をそれぞれ別々に進めている地域が少なくないが、そうした縦割りの弊害を無くしたいといいます。

 厚労省は今後、8月にも新たな有識者会議を立ち上げて本格的に検討を始めます。焦点はいくつかありますが、最も大きいのはやはり新事業のフレームワークです。都道府県と市町村の役割分担や財源の負担の配分などをめぐり、関係者が折り合いをつけなければいけません。高齢者の健康を支援するメソッドにも注目が集まります。現場ではどんな取り組みに力を入れてもらうのか、専門職はどのように関わっていくべきなのか、先行事例から学ぶべき重要な課題は何か −− 。そうしたポイントを話し合い、有効かつ現実的な制度を作ることが課題となります。
厚労省は年内をメドに一定の方向性を示す予定です。担当者は「今後の議論にもよるが必要があれば法改正も行う」と説明しました。2020年度にも新たな事業を始められるように進めていくとしています。

官庁通信社 JOINTより


通所介護/デイサービス特集はこちらを参照ください。